葉酸サプリと不妊治療や妊活の関係

葉酸はサプリを利用すると効率よく摂取できます

葉酸サプリの摂取は、厚生労働省が妊娠の可能性のある女性に対して推進しているほど、妊活を成功させるためには重要な栄養。 また、サプリは自宅でも簡単に摂取できますので、お手軽に、また、継続して使用することができます。

不妊治療や妊活における葉酸サプリの役割とは?

体全体のバランスを整え妊娠力を高めてくれる治療法です
ビタミンB群の一種である葉酸は、人の細胞を増やす細胞分裂に必要なDNAの合成や、体を作るタンパク質の合成などに関与する、非常に重要な栄養の1つです。また、葉酸が不足している女性では着床障害が起こりやすくなったり、胎児の細胞分裂が活発な妊娠初期に葉酸が不足すれば、胎児に深刻な先天性の障害を発症させるリスクが増大したりと、葉酸は不妊治療や妊活を成功させる上で絶対に欠かせない栄養でもあります。 そのため、葉酸サプリを活用して、積極的に葉酸不足を解消していくことが大切です。

厚生労働省も認める葉酸サプリの効果

厚生労働省は2000年、妊娠の可能性のある女性に対して、葉酸サプリなどを効果的に活用しながら、積極的に葉酸を摂取するよう通知を出しました。 また、2018年には日本先天異常学会からも厚生労働省に対して、より一層に葉酸摂取の重要性の周知を願うコメントが発せられています。(※1)

妊娠中は普段の倍の葉酸摂取が必要
厚生労働省の食事摂取基準(2015年版)によれば、成人における葉酸の摂取目安量は、男女ともに1日当たり240μgとされていますが、妊娠中の女性では、この量が倍の「480μg/1日」に増大します。(※2)

妊娠前や出産後にも積極的な葉酸摂取が重要
葉酸は妊娠中だけでなく、妊娠前後にも必要です。そもそも、葉酸が不足している状態では妊娠しにくくなってしまうため、妊娠を希望する女性は普段から葉酸をきちんと摂取していかなければなりません。

葉酸が不妊治療や婚活に欠かせない理由とは?

不妊治療や妊活に葉酸サプリは有効なのか?
アメリカでは1998年に、穀物などへの葉酸添加が事実上の義務化され、妊娠中に流産してしまう妊婦の数や、神経閉鎖障害などの先天性障害を持って生まれてくる子供が減少しました。 また、国際団体「食糧栄養強化イニシアチブ(FFI)」の報告によれば、2016年までに世界86カ国において、食品への葉酸添加政策が実施され、やはりそれらの障害の発生率が30~50%減少したという報告もあります。(※3)

そもそもどうして不妊治療や妊活に葉酸が重要なのか?
葉酸は、人の体内でDNA合成やタンパク質合成に関わる栄養であり、葉酸が不足すれば様々な障害が起こります。

葉酸が不足するとどのような障害が起こるのか?

葉酸不足による着床障害・流産
葉酸不足による妊娠への悪影響の1つが、着床障害のリスク上昇です。 葉酸が不足していると、体内で正常な細胞増殖が行われにくくなり、子宮内膜などを作る際にも不具合が生じやすくなります。 子宮内膜に問題があれば、せっかく卵子に精子が受精しても、受精卵が着床しにくくなって妊娠へつなげることができません。また、着床しても流産してしまう危険性が高まります。

葉酸不足による貧血
葉酸やビタミンB12の不足は、巨赤芽球性貧血を引き起こします。 貧血による食欲低下や体重減少は、女性ホルモンの正常な分泌を阻害してしまう一因であり、葉酸が不足した状態では妊娠率も低下することが考えられます。

葉酸不足による男性の精子不良
アメリカのカリフォルニア大学などの研究チームによって、葉酸をきちんと摂取している男性では、そうでない男性と比較して、精子の染色体異常率が低下したという結果も報告されています。 不妊に悩むカップルでは、不妊原因のおよそ半分が男性にもあるとされており、不妊治療や妊活としての葉酸摂取は、女性だけでなく、男性も一緒に行っていくことが大切です。(※4)

充分な葉酸摂取によって妊娠率が向上する?

2007年から2011年の間に妊娠を計画していた、3,895人のデンマーク人女性を対象にして行われた研究によれば、葉酸を積極的に摂取したグループの女性の妊娠率は、そうでなかったグループの女性と比較して、平均およそ1.15倍に上昇したという結果が得られました。(※5)

不妊治療や妊活をサポートする葉酸サプリの働き

普段の食生活だけでは不足しがちな妊娠中や妊娠前後の葉酸摂取を、葉酸サプリによって補助することで、様々なメリットが期待できます。

貧血を予防するの?
不妊治療中の女性や妊活中のカップルにとって、葉酸不足による貧血は深刻な問題です。 葉酸の適切な摂取は造血を促して貧血予防に働くため、妊活を助けるアイテムとしてだけでなく、日常的な健康を維持する目的でも葉酸サプリは有効です。

ホルモンバランスと生理周期の安定化する?
葉酸摂取によって血行が良好に保たれ、代謝機能が正常に維持されていれば、ホルモン分泌にも良い影響が与えられます。また、ホルモンバランスがきちんと保たれ、代謝活性が正常に維持されるとすれば、生理周期を安定させる効果も期待できます。

排卵コントロールをしやすくなるの?
ホルモンバランスや生理周期が正常に保たれていれば、専門医による排卵コントロールもしやすくなります。

子宮内膜を厚くするの?
葉酸摂取によって正常な細胞増殖や女性ホルモンの分泌が促されることで、子宮内膜が厚くなり、着床障害の発生リスクが低減し、妊娠率のアップを望めます。 子宮内膜の状態は着床後の流産リスクにもつながるとされており、妊娠を考える女性にとって適切な子宮内膜の形成は重要です。

うつ病の予防ってほんと?
妊娠を計画する女性や妊婦にとって、うつ病は大きな問題です。 葉酸は体内でタンパク質の合成にも関与しますが、正常なタンパク質の合成はうつ病の予防に不可欠です。

葉酸不足が関係する先天性障害とは?

妊娠中の葉酸不足は、胎児の神経管閉鎖障害など、様々な先天性障害を引き起こすとされています。

神経管閉鎖障害
神経管閉鎖障害とは、胎児の脊椎の神経管がきちんと形成されない先天異常であり、原因の1つとして、特に妊娠初期の葉酸不足があると考えられています。 そのため厚生労働省は、妊娠中だけでなく、妊娠の発覚する前から葉酸を積極的に摂取するよう推奨しています。

ダウン症
ダウン症は、細胞中にある21番染色体の数が狂ってしまうことで生じる、染色体異常の1つです。葉酸の不足は細胞分裂の異常に影響するため、ダウン症を始めとする染色体異常の発症率を上げてしまうことが考えられます。

葉酸は日常的に摂取しよう

いざ妊娠が発覚してから、慌てて葉酸を摂取したのでは間に合わないこともあります。また、葉酸は妊娠を正常に維持して、さらに産後も欠かせない栄養です。 葉酸は普段から意識して摂取するようにして、日頃から不足させないように注意しましょう。

日頃から葉酸を摂取するには?

厚生労働省が推奨する、一般的な葉酸の1日当たりの摂取目安量である240μgは、普段の食生活で補うこともできるとされています。しかし妊活中に必要な400μgや、妊婦に必要な480μgは、なかなか食事だけで補うことはできないとされています。

普段の食事だけでは葉酸は不足しがち?

葉酸は、ほうれん草やモロヘイヤといった葉野菜や、レバー、卵黄など色々な食材に含まれていますが、食材中の葉酸の吸収率は個人差もあり、なかなか食事だけで必要十分な量の葉酸摂取は難しいかも知れません。 実際、厚生労働省の調査によれば、妊婦が食事で摂取している葉酸量は平均して1日当たり300μg程度となっており、多くの妊婦において葉酸が不足しているという実態があります。(※3)

葉酸の過剰摂取は大丈夫?

厚生労働省によれば、葉酸の1日当たりの最大摂取量の目安は1,000μgとされており、これを超えて摂取すれば、かゆみや発熱といった副作用が生じる可能性もあると指摘されています。 しかし、そもそも葉酸は水溶性のビタミンであり、一度にまとめて摂取しても、すぐに尿として排出されてしまうという性質があります。ましてや、妊婦や妊娠前後では葉酸不足が大きな問題です。 そのため、葉酸は一度に大量に飲むのでなく、摂取目安量をきちんと意識しながら、一日を通して不足しないようサプリで補っていくようにしましょう。

妊治療と妊活で選ぶべき葉酸サプリのポイント

不妊治療や妊活のサポートとして使用する葉酸サプリを選ぶ際には、注意すべきポイントもあります。

信頼できるメーカーの製品を選ぶ

葉酸には、吸収率の低い「ポリグルタミン酸型」と、人工的に合成される「モノグルタミン酸型」があり、食材に含まれている葉酸は前者のポリグルタミン酸型です。 厚生労働省では、少なくとも妊娠3ヶ月目までは、吸収率の高いモノグルタミン酸型での葉酸摂取を推奨しています。 また、市販の葉酸サプリを対象にして、独立行政法人「国民生活センター」が行った調査では、自然由来や天然由来とうたっていても、実際はモノグルタミン酸型が配合された製品が多いと判明しました。 葉酸を配合したサプリは多種多様ですが、摂取量を確認しやすく、品質の安全性についても信頼できるメーカーのものを選ぶことが大切です。(※6)

栄養バランスの取れたものを選ぶ

サプリの摂取で気をつけるべきは、複数のサプリの併用による、栄養の過剰摂取です。 そのため、必要な栄養をきちんと補給できるバランスの良いサプリを、必要最低限の種類だけ選ぶようにして下さい。

飲み続けやすいものを選ぶ

サプリをきちんと続けていくためには、サプリの飲みやすさや、費用も大きなポイントです。サプリはメーカーによって粒のサイズや価格にも差があるので、自分にとって続けやすい製品を見つけることも重要です。

継続的な葉酸摂取で女性の体を内側からサポート!

不妊治療や妊活だけでなく、普段の生活でも大切な栄養である葉酸は、日頃から継続して摂取していくことが大切です。 自分にとって飲みやすい葉酸サプリを活用しながら、いつでも妊娠に備えられるよう、体を内側からサポートしていきましょう。

参考文献

※1「葉酸の日および葉酸摂取による神経管閉鎖障害予防月間周知のお願いについて」

※2「食事摂取基準2015年版の概要(厚生労働省)」

※3「日本経済新聞2017年3月2日付夕刊」

※4「Folate intake linked to genetic abnormalities in sperm, says new study 」

※5「Folic acid supplementation and fecundability: a Danish prospective cohort study.」

※6「独立行政法人国民生活センター:胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品」