流産を繰り返す不育症について

妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して結果的に子供を持てない場合を不育症いいます。

一般的には連続して2回以上流産・死産があれば不育症と診断します。原因としての多くは、子宮形態異常・内分泌機能異常・染色体異常などがあげられています。しかしその半数以上は、検査をしても明らかな異常が判らない、偶発的や原因不明流産といわれているのが現状です。

では、明らかな「不育症」の原因といわれているものは、どんなものがあるのでしょうか。

子宮の形態異常

弓状子宮、双角子宮、中隔子宮、重複子宮などの子宮の形態に異常がある場合には、流産をしやすいといわれています。また、子宮の形によっては着床の障害になったり、胎児や胎盤を圧迫して、早産になることがあると考えられています。

夫婦どちらかの染色体や遺伝子異常

妊娠初期の流産で、原因の大部分を占めるのは胎児の染色体異常ですが、流産を繰り返す場合は、夫婦どちらかに染色体構造異常がある可能性が高くなります。

内分泌異常

甲状腺機能亢進・低下症、糖尿病などがあると、流産のリスクが高くなると言われています。これらの内分泌疾患では、早産等の産科合併症のリスクも高いため、投薬療法などで機能を正常に近づけてから妊娠を目指します。

抗リン脂質抗体陽性・血液凝固機能異常

抗リン脂質抗体とは血栓を引き起こす自己免疫で、陽性の場合を抗リン脂質抗体症候群とも呼ばれます。血液凝固異常は、血液を固めたり溶かしたりする因子の先天的な欠乏症です。これらの異常を持つ人は、妊娠時から出産に際して、血栓を予防するための抗血栓療法を行います。

一般的に2 回~ 3 回以上流産を繰り返す場合は、両親のどちらかにリスク因子がある可能性があるので、リスク因子の検査が勧められます。ただ、不育症はリスク因子がわからないことも多く、その約6割は明らかな原因が特定できない原因不明とされています。

つまり、「不育症」も原因不明の機能性不妊と密接な関わりがあり、背景には栄養欠損、アレルギー体質(=免疫異常)、精神的ストレスなどが大きく関わっているといえます。