特定不妊治療費助成金情報とは

体外受精・顕微授精にかかった費用を取り戻せます

不妊治療はどうしても高額になってしまうのが悩みのタネ。そんな夫婦の味方となってくれるのが「特定不妊治療費助成金」です。

特定不妊治療費助成金について

高額の不妊治療費用に悩む方への強い味方!

特定不妊治療費助成金は高額の不妊治療費用に悩む方への強い味方。具体的には、不妊の夫婦が体外受精・顕微授精といった特定不妊治療を行うときに、国や自治体が治療費の一部を補助してくれる制度です。
自治体によっては少し助成の内容が変わることがあるので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

対象者体外受精・顕微授精以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師に診断された法律上婚姻している夫婦(一部の事実婚も含む)
助成限度額(原則)体外・顕微授精→1回につき10万円、もしくは30万円※
所得制限なし
※治療ステージA、B、D、E …30万円/治療ステージC、F …10万円/

2022年4月からスタートした保険適用で、助成金はどうなった?

従来の「特定不妊治療費助成事業」は2022年3月末をもって終了し、保険適用対象になりました。ただし、いきなり切り替わるのではなく2022年4月1日から2023年3月31日までは経過措置が適用されます。経過措置が適用されるケースとそうでないケースをご紹介します。

経過措置が適用されないケース

自治体の助成制度も活用しよう

国が実施する特定治療支援事業以外にも、各自治体が独自の助成制度を設けています。今回は、東京都と富山県魚津市の助成金事業を例にご紹介します。お住まいの地域でも、同様の助成制度がないか探してみてください。

経過措置が適用されるケース

東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業

東京都は2022年10月25日に「東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業」の開始を発表しました。注目すべき点は、保険適用がされない先進医療に対する助成金の支給です。 体外受精及び顕微授精を行う際に、国の制度では保険診療と自費で実施される自由診療(先進医療)をあわせて行う混合診療を認めていません。 しかし、東京都独自の助成事業では、保険診療とあわせて実施された先進医療にかかる費用についても一部を助成してくれます。 つまり、不妊治療において保険適用できる治療に関しては国の助成金で費用負担を軽減してもらい、かつ全額自己負担となる先進医療の部分に関しては、東京都が一部を負担するという、漏れのないダブルの助成金を受けられるのです。

富山県魚津市の特定不妊治療費の助成制度

富山県魚津市は、少子化対策の一環として不妊治療の自己負担分を全額助成する独自の助成制度をスタートさせています。 不妊治療において、保険診療適用範囲が拡大されたものの、従来国が支給していた助成金は経過措置こそありますが、原則廃止されました。そのため、治療内容によっては、自己負担が増加するケースが発生。そこで、自己負担が増加してしまう不妊治療の費用負担をサポートしようという手厚い助成制度です。 令和4年度不妊治療費助成の概要は以下をご確認ください。なお、令和3年度中に不妊治療をはじめ、4月以降に治療が終わった方にも、経過措置として年度をまたぐ1回の治療に対して、従来の制度から助成を受けることができます。

助成金と保険適用、どちらがお得なの?

結論からいうと、不妊の原因とそれに対してどのような不妊治療を受けるのかによって変わるため一概にどちらが得だとは言えません。
旧制度から変わった新制度(経過措置により適用可能)の助成金には、以下のメリットがあります。

  • 所得制限の撤廃
  • 助成金額の拡充
  • 助成回数が増加
  • 事実婚の夫婦も受給対象に

一方、保険適用に変わることで2つのメリットが生まれます。

  • 保険適用可能な不妊治療に関しては3割負担でok
  • 経済的負担を考えてためらっていた不妊治療を前向きに検討できる

このように、双方メリットがあるものの、保険適用できない治療もあるため、最終的に費用に関して個人差が大きいのが実状でしょう。

助成金撤廃で負担増の課題も

助成金が撤廃されたことで、逆に自己負担が増えてしまうという問題は、以下の2つの要因によって発生します。

  • すべての不妊治療と検査が保険適用にはならない
  • 保険診療と保険適用にならない自由診療をあわせた混合診療は認められていない

そこで発生するのが、以下のようなケース。

  • これまで受けてきた治療法Aは保険適用されてきた
  • これから受けようとしている新たな治療法Bは保険適用外
    →混合診療が認められていないため、治療法AもBもすべて自己負担になる可能性がある

このようなケースでは、どのように自己負担を軽減すればいいのかの判断が難しくなります。そのため、高額療養費制度の活用を含め、専門家に相談する必要があるでしょう。

特定不妊治療費助成金を受け取るまでの流れ

助成金の申請は、お住いの自治体の窓口で受け付けています。申請窓口は主に保健所や保健福祉事務所などです。申請対象や内容を確認し、必要書類をそろえて提出しましょう。郵送でも申し込めるところもありますので時間がない方は要チェックしてください。

治療費を払う
助成金は支払った治療費の一部を後で助成してくれる制度ですので、まずは病院に治療費を自費で支払います。

申請書など必要な書類を準備
必要な書類を準備します。治療を受けた医療機関に作成してもらう書類など準備する書類が多いので、事前に調べておきましょう。
※申請書などは、最近はインターネットで書類をダウンロードできることもあります。

準備した書類を自治体に提出
治療支援事業の申請書、治療支援事業の受診証明書、住民票などの必要書類をそろえて窓口に提出します。(自治体によっては郵送可)

助成金が振り込まれる
申請が認められると、指定した口座に助成金が振り込まれます。承認・不承認のお知らせは郵送で連絡されます。(振り込まれるのは申請から1~2ヶ月後)となります。

※各自治体によって違いがあります。詳しくはお住いの自治体で確認してください。

その他、お金を戻すTIP!

確定申告や自治体オリジナル助成で、治療費を取り戻せます

自治体によっては、不妊治療に手厚い独自の助成制度を設けているところもあります。また保険適用の治療費が1年間で10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を申請すれば、治療費の一部が戻ってきます。

確定申告

医療費が10万円オーバーなら医療費控除の申告を

医療費が年間10万円以上になった場合は、確定申告すると医療費控除が受けられます。対象は1月~12月までの1年間で、家族全員の医療費、通院のための交通費、薬局で購入した処方薬などが対象になります。

各自治体の助成制度

一般診療でも助成できます。詳しくは問い合わせを..

例えば、人工授精や排卵誘発剤の投与など、自治体によっては一般不妊診療での治療費を負担してくれるところもあります。自治体によって内容は異なりますので、まずは問い合わせしてみてください。

東京都の不妊治療の助成金

東京都において不妊治療に適用される助成金には、東京都特定不妊治療費助成があります。ここでは、その内容について確認していきます。

東京都特定不妊治療費助成

不妊治療のうち、タイミング法までの治療は国民健康保険や協会けんぽなどの医療保険が適用となりますが、高度医療となる体外受精と顕微授精は医療保険の適用がありません。そのため、不妊治療の費用負担が大きくのしかかります。この不妊治療の負担を軽減する全国的な制度として存在するのが特定治療支援事業です。

特定治療支援事業の東京都における制度が「東京都特定不妊治療費助成」です。助成の対象となる治療は基本的には特定不妊治療だけ、すなわち体外受精と顕微授精のみとなります。ただし、特定不妊治療以外でも、その過程に関連するものとして一部の男性不妊治療についても助成されます。

※東京都内に住所があっても、八王子市はこの制度の対象外となっています。八王子市にお住まいの夫婦が申請できるのは、八王子市の特定治療支援事業です。

助成を受ける条件

  • 妻が満年齢で43歳未満のときに1回目を開始した治療であること。
    43歳になってから1回目を開始した治療は助成されません。
  • 特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがないか、極めて少ないとの医師の診断があること。
  • 法律上の夫婦であること。
    東京都の特定不妊治療費助成を申請するには、治療開始の時点で法律上の婚姻をしている夫婦であることが必要です。この助成制度において、内縁関係は考慮されません。
  • 申請日における住所が八王子市を除く東京都内にあること。
    前述のとおり、八王子市に住所がある場合は、東京都ではなく八王子市の助成制度に申請します。
  • 1月から5月までの申請については前々年の、6月から12月までの申請については前年の所得が、夫婦合計で730万円未満であること。
  • 特定不妊治療を受けたのが指定医療機関であること。
  • 妊娠の有無の確認または医師の判断により、1回の治療が終了した年度の年度末までに申請していること。
    ただし、治療の終了が1月から3月の場合は翌年度分の扱いで翌年度の6月末までの申請が可能です。ちなみに、申請日の判定は郵便消印の日付によります。そのため、申請書の日付が申請期限の日だった場合、差出が遅れると翌日の消印となり、助成されない可能性があります。

助成の内容

1.体外受精と顕微授精については、治療ステージごとに助成額が設けられています。

助成上限額初回のみ
治療ステージA20万円30万円
治療ステージB25万円30万円
治療ステージC7万5000円
治療ステージD15万円30万円
治療ステージE15万円30万円
治療ステージF7万5000円
治療ステージG/H助成対象外

各ステージは、治療内容によって規定されています。このステージ分類は全国共通のものです。

また、助成を受けられる回数にも上限があります。1回目の助成を受けたときの治療開始日における妻の年齢が39歳以下の場合、助成を受けられる上限は6回です。しかし、妻が40歳以上42歳以下だった場合は3回と半減します。

2.男性不妊の治療で助成されるのは、精巣内精子生検採取法など指定された治療法(手術・精子凍結)に限られます。また、医療保険が適用される治療については対象外です。

金額は治療1回につき15万円までで、特定不妊治療が終了した年度の前年度以降の治療を対象として助成されます。ただし、特定不妊治療の過程にあるものとされているため、男性不妊治療だけでの申請は認められません。同時に申請する特定不妊治療が助成されることが前提です。

これらの制度は、必要に応じて改正されることがあります。したがって、最新の情報をチェックすることが大切です。

【参考】
東京都特定不妊治療費助成の概要

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/top.html