Q5. 凍結胚移植は自然周期とホルモン補充周期、妊娠率が高くなるのはどっち?

Q.凍結胚を移植する場合、自然周期とホルモン補充周期のどちらのほうが妊娠率は高くなるのでしょうか?

「妊娠率が良いと聞いて、凍結胚移植を行なう予定です。凍結胚を移植する場合、自然周期に合わせて移植する方法と、ホルモン補充周期に合わせて移植する方法の2種類があると聞きましたが、どちらのほうが妊娠率は高くなるのでしょうか?

少しでも確率の高い治療を受けたいと考えています」

A.凍結胚盤胞融解移植の妊娠率に自然周期とホルモン補充周期で大きな有意差はありません

妊娠率に大きな差異はないものの、流産率には異なる結果も

2019年の欧州生殖医学会(ESHRE)で「凍結融解胚移植において、自然周期の方がホルモン補充周期より妊娠率は変わらないけれども流産率が有意に低い」と発表されたことがありました。それを受けて東京HEARTクリニックで凍結胚盤胞融解移植の成績を比較したデータが、同クリニックの公式サイトで公開されています。

その臨床データは4年間に凍結胚盤胞融解移植を受けた患者のうち、自然周期による移植とホルモン補充周期による移植の成績を比較したものです。

年齢別に分けて比較すると、39歳以下では自然周期の妊娠率:48.8%、継続妊娠率:42.8%、流産率:16.7%でした。一方でホルモン周期はそれぞれ53.0%、48.3%、15.6%と有意な差はありませんでした。ところが、40歳以上になると、自然周期の妊娠率:28.9%、継続妊娠率:22.2%、流産率:8.7%。そしてホルモン補充周期はそれぞれ28.8%、23.2%、35.2%という結果が出ました。

妊娠率と継続妊娠率にはほとんど差はありませんでしたが、流産率はホルモン補充周期のほうが高い、というデータが出たそうです。

参照元:東京HEARTクリニック公式サイト「凍結胚盤胞移植における、自然周期とホルモン補充周期の妊娠率と流産率の比較」

https://tokyo-hart.jp/a200518/

移植の確実性が高いのはホルモン補充周期法

凍結融解胚移植の方法には自然(排卵)周期とホルモン補充(調整)周期法のほかに、排卵誘発による低刺激周期という方法もあります。どの方法でも妊娠率は変わりませんが、移植の確実性という点では、ホルモン補充周期がもっとも高く、次いで低刺激周期、自然周期は移植の確実性は低いとされています。

それぞれメリットもあればデメリットもあり、一概にどれがいいといことは言い切れません。

わかりやすい違いで言えば、自然周期や低刺激周期と比較してホルモン補充周期は通院回数が少なく、どのような場合でも対応が可能であるメリットがあります。またホルモン補充周期は薬で移植日を調整することや予定日を確定させることができるというのも特徴です。

一方で治療の副作用という点では、自然周期には副作用の心配はなく、低刺激周期には卵巣過剰刺激症候群発症のリスク、ホルモン補充周期法には局所皮膚反応や不正出血の可能性があるとされています。

参照元:はらメディカルクリニック公式サイト「胚移植」

https://www.haramedical.or.jp/content/vitro/000090-2

リスクとメリット、通院スケジュールなどを勘案して決める

どの方法にもメリットとデメリットがありますが、肺移植の確実性という点でホルモン補充周期法を選択するクリニックが多いようです。ただし、先ほど説明したように、どの方法にも良い面と悪い面(リスク)がありますし、通院頻度や移植のタイミングを選べるか選べないかといった違いもあります。

主治医が推奨する方法であっても、少しでも不安を感じるようであれば遠慮なく質問してみてください。大事なことは、本人が納得したうえで不妊治療を続けることではないかと考えます。