Q6. 子宮内膜ポリープは切除したほうがいい?

Q.子宮内膜ポリープが見つかったのですが、妊娠を希望する場合は手術を受けて除去したほうが良いのでしょうか?

「1ヶ月ほど前に不正出血があり婦人科で診てもらったところ、子宮内膜ポリープが見つかりました。治療を希望する場合は子宮鏡下手術になるようですが、ポリープの大きさに関わらず、やはり手術を受けたほうが良いのでしょうか? また手術するとしたら、入院が必要になりますか? ちなみに近い将来、妊娠を希望しています。」

A.ポリープがある部位によっては妊娠の妨げに。不妊症のかたは切除したほうが妊娠率が高まるといわれています。

子宮内膜ポリープの大きさよりできた部位のほうが重要

基本的に切除すべき子宮内膜ポリープの大きさは定義されていません。ただし、10mm未満の小さなポリープは自然退縮することが多いことから、切除しないという診断をされることもあります。また切除すべきポリープの大きさに明確な基準はありません。

子宮内膜ポリープ自体は良性の腫瘍なので原則そのまま放置しても問題はありませんが、ポリープができている部位によっては、妊娠への影響が懸念されます。とくに自然妊娠や人工授精による妊娠を望む場合には、手術を受けてポリープを除去したほうが良いとされています。

なぜなら、ポリープの位置によっては受精卵の着床が妨げられたリすることがあるからです。亀田IVFクリニック幕張公式サイトのブログに以下のような記述がありました。

「子宮内膜ポリープのある部位も大事なようです。子宮内膜ポリープ切除後の妊娠率は、子宮-卵管接合部に位置するポリープが最も高く(57.4%)、次いで多発性ポリープ40.3%、後壁ポリープ28.5%、側壁ポリープ18.8%、前壁ポリープ14.8%となっています。(Yanaihara A, et al. Fertil Steril. 2008)」

引用元:亀田IVFクリニック幕張公式サイトブログ「不妊症患者の子宮内膜ポリープをどうするか(総説紹介) 」

https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_712.html

妊活前に子宮内膜ポリープが見つかった場合は、切除すべきと診断されることが多いようです。不妊症とポリープの関係についてははっきりとしたエビデンスがないものの、妊娠率については優位な差があるようです。したがって精密検査を受け、妊娠に影響のある位置であれば手術を受けることを推奨します。

不妊症患者ではポリープ2個以上の多発性が多い

子宮内膜ポリープと診断されたのち、東京医科歯科大学で治療(子宮鏡下内膜ポリープ切除術)をうけた36例からわかったことがいくつかあるのですが、子宮内膜ポリープを切除した方の術後の妊娠率は44.4%、というデータがあるそうです。

また不妊症患者ではポリープが2個以上ある多発性が多いこともわかっています。単発性(ポリープが1個)ポリープ群と多発性ポリープ群を比較したところ、それぞれポリープ切除後の妊娠率は25.0%と54.2%でした。

このデータを踏まえると、多発性ポリープがあった場合はポリープ自体が不妊症の原因になっている可能性があるため、妊娠を望むのであれば子宮内膜ポリープは切除したほうがいい、と診断されるはずです。

参照元:亀田IVFクリニック幕張公式サイトブログ「不妊症に対する子宮内膜ポリープ切除術の有効性について」

https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_81.html

子宮内膜ポリープの検査方法

子宮内膜ポリープの検査方法には、超音波検査と子宮鏡検査、子宮内膜細胞診の3種類があります。

【経腟超音波検査】

腟から子宮の中に細いスコープ(胃カメラと同じものですが、麻酔なしで子宮に入れられるようにずっと細いです)を入れ、子宮内腔を観察します。ポリープの個数や位置、大きさ、ポリープ表面の性状がわかります。

超音波検査は体に負担がかからないので推奨されますが、1cm以下の小さなポリープを確認することは難しいことがあります。よって妊娠に影響があるかどうかを正確に判断するためには、子宮鏡による検査が必要になるでしょう。

【子宮鏡検査

腟から胃カメラよりさらに細いスコープを子宮の中に細いスコープを入れて、子宮内腔を観察します。ポリープの個数や位置、大きさ、ポリープ表面の性状がわかります。麻酔なしでもできる検査です。

【子宮内膜細胞診】

子宮内腔表面の細胞を採取して、その組織を顕微鏡で確認します。ポリープが悪性(癌)のものでないか、くわしく検査をします。

参照元:東大病院女性診療科・産科/女性外科公式サイト「子宮内膜ポリープ」

https://www.gynecology-htu.jp/target-disease/endometrial-polyps/

検査を行なうタイミング

検査を行なうタイミングは、月経直後の排卵前です。具体的には、月経開始から6~10日ごろに行なうことになります。ただし検査のタイミングで月経による大量の出血が見られる場合には、検査を見送ることがあります。血液の影響で、子宮内膜のポリープの状態を正確に判断することができないからです。

その場合には、改めて精密検査のタイミングを相談することになります。

検査ではほとんど痛みを感じない

子宮にファイバースコープを挿入するだけなので、検査における痛みはほとんどありません。麻酔はもちろん、何らかの痛み止めを服用する必要もありません。ただし、子宮の入り口が狭い人や子宮が曲がっている人などは、検査中に多少の痛みを感じるケースもあります。

なお検査後、数日にわたり出血が続くこともありますが、やがて止まりますので心配は要りません。また検査後の数日間は、感染防止のために抗生物質を服用することになります。

「子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術」によりポリープを切除

検査によって妊娠に影響があるポリープと判断された場合、子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術を行なうことになります。

腟から子宮の中にスコープを入れて、ポリープを切除します。ポリープの数が少なく大きくない場合などは、日帰り手術が可能です。また手術に使用するスコープは非常に細いため、麻酔の必要もありません。

ただし、ポリープの大きさや部位によっては入院したうえで麻酔をかけ、太いスコープを使った手術を行ないます。多くの場合、術後に問題がなければ手術した翌日には退院できます。

参照元:東大病院女性診療科・産科/女性外科公式サイト「子宮内膜ポリープ」

https://www.gynecology-htu.jp/target-disease/endometrial-polyps/