年代によって不妊治療はどう違うのか

不妊の原因や年齢により不妊の治療法は変わる?

不妊治療の基本的な考え方は、妊娠しにくい原因が判明していれば治療をして、妊娠の可能性を高める不妊治療を個々の体質や年齢などに合わせて選択していくというものです。

妊娠を妨げる要因として「加齢」を耳にすることが多いと思いますが、最近では若い世代の不妊も聞くようになってきています。生活習慣の乱れや飲酒、喫煙、極端なダイエット、化学物質による環境汚染など、さまざまな原因が複合的に絡み合い、不妊を引き起こしています。 効果的な不妊治療のためには、自分のカラダの状態を十分に理解した上で、不妊治療を行うことが大切です。

さらに男性不妊も認知度が高まりつつあり、男性専門の不妊治療クリニックなども増えてきています。女性だけでなく男性にも不妊の原因があることを知って、適切な治療を受けることによって妊娠の確立が高まります。

データで見る年齢別の妊娠確率

年齢とともに妊娠率は下がり、流産のリスクは高まる傾向にあります。 下記グラフは年齢別出産率と流産率の統計データを厚労省がまとめたものです。女性が自然に妊娠する力は 30歳頃から低下するため30歳代半ば頃から年齢が上がるにつれて出産に至る確率は低くなり、35歳前後からは流産率も上昇することがわかっています。

引用元:平成25年厚生労働白書(日本産科婦人科学会2010年データをもとに厚生労働省政策統括官付政策評価官室作成)「図表2-3-24 不妊治療における年齢別の出産率と流産率」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/taskforce_2nd/t_1/pdf/ref1-3.pdf)【PDF】

35歳をすぎると自然妊娠の確立が大幅にダウン

20歳から30歳では25~30%あった妊娠率が35歳には18%と大幅にダウンし、40歳になると約5%、45歳になると1%にまで落ち込んでしまうことがわかっています。年齢が上がれば妊娠する確率が下がるということは広く認識されているところですが、1年以内の妊娠率は30代後半となるとその数値は20代の100%に対して、60%台まで下降してしまいます。

一方で、流産率は年齢とともに増加し、40歳以上では半数の確率となります。幸いに妊娠できたとしても、40歳ともなると代謝性疾患も増加し、流産や早産、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などのリスクが高まる傾向にあるためです。そのうえ、染色体異常の発生頻度が高まることも、大きく影響します。

※引用元:内閣府「参考資料1 平成25年版厚生労働白書(抜粋)4(PDF)」日本産科婦人科学会2010年データをもとに厚生労働省政策統括官付政策評価官室作成「図表2-3-24 不妊治療における年齢別の出産率と流産率」

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-3.pdf

不妊に悩む夫婦の確率

不妊の定義について、簡単に説明しましょう。生殖機能に問題がないカップルが妊娠を希望している場合、3か月以内に50%、6か月以内では70%、1年以内に80%以上、2年でおよそ90%の割合で妊娠に至ります。そのため不妊の基準はまちまちで、アメリカ生殖医学会は1年、国際産婦人科連合は2年、日本では2年以上としていますが、1年程度を目安にしている場合もあります。
ある一定期間、性生活があっても妊娠しない状態を「不妊」と定義されますが、妊娠を望まない場合は不妊というわけではありません。
最近では上記のグラフの通り不妊に悩む人は非常に増加しています。そして、そのうちの半数が、不妊検査や治療を経験済みです。晩婚化や晩産化が進み、今では不妊治療は珍しい治療ではなくなっているのです。

夫婦3組に1組が不妊に悩んでいる

不妊の定義について、簡単に説明しましょう。生殖機能に問題がないカップルが妊娠を希望している場合、3か月以内に50%、6か月以内では70%、1年以内に80%以上、2年でおよそ90%の割合で妊娠に至ります。そのため不妊の基準はまちまちで、アメリカ生殖医学会は1年、国際産婦人科連合は2年、日本では2年以上としています。
ある一定期間、性生活があっても妊娠しない状態を「不妊」と定義されますが、妊娠を望まない場合は不妊というわけではありません。
最近では上記のグラフの通り不妊に悩む人は非常に増加しています。そして、そのうちの半数が、不妊検査や治療を経験済みです。晩婚化や晩産化が進み、今では不妊治療は珍しい治療ではなくなっているのです。

体外受精の年齢別妊娠率

引用元:公益社団法人 日本産婦人科学会「2021年 体外受精・肺移植等の臨床実施成績」
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2021_JSOG-ART.pdf

体外受精の成功率も年齢によって異なる

体外受精での妊娠率を年齢別に見ると、25歳に40%以上あった妊娠率は35歳を過ぎると坂道を転げ落ちるように下降、45歳になると5%を切り、まで落ち込んでいます。
しかし、自然妊娠率と比較すると、とくに35歳以上での体外受精では妊娠率が大きく上昇していることが分かります。妊娠に至るまでの月経周期数では、20代前半では平均3.3周期、30代前半7.5周期、30代後半12周期、40代では15.4周期となり、30代後半以降では高度生殖医療は正しい選択と言えるでしょう。
とはいえ、タイミング法や人工授精、高度生殖医療などの治療は、あくまで「卵子と精子の出会う確率を増やす」治療であり、卵子や精子の質を良くする治療、つまり「妊娠力」を育てる治療ではありません。決して、万能ではないのです。
妊娠するための条件とは、「質の良い卵子」と「元気な精子」が出会うことに他なりません。この条件さえ整えば、少々タイミングがずれたり、年齢が多少高いなど不利な条件であっても妊娠できるといわれています。 精子は毎日新しくつくりますが、卵子は女性が生まれた時にはすでに卵巣内に全ての卵子が存在するので新たに作ることはありません。そのため加齢とともに卵子の数は減り、卵子の質も低下・老化していきます。 そこで、年齢を重ねるほど老化卵子の治療、つまり「妊娠力」を高める積極的な治療のニーズが高まっています。
昔から妊娠体質に近づける治療として漢方治療や針灸治療はよく知られていますが、最近では分子整合栄養医学による栄養療法による新しい治療をおこなうクリニックも増え注目されています。     

年代別で見る不妊治療のステップアップ

一般的なステップアップ治療

一般的に行われているステップアップ治療は、一つの目安に過ぎません。
まずは、自分たちの状態を可能な限り正確にかつ客観的に把握することが、妊娠へのスタートです。
不妊治療を受ける際には、器質的な問題がとくに無ければ、年齢に応じて治療のステップを踏みます。 例えば、20代や35歳までであれば基礎体温をつけ、まずは自分でタイミング法をおこない、1年経っても妊娠しなければ婦人科医の指導のもとでより確実なタイミング法をおこなう、それでも妊娠しなければ次のステップへ…と少しずつ段階を踏んでいきます。

妊娠率が顕著に低下する35歳以上では、タイミング法は省いて、最初から人工授精や体外受精を勧められることが一般的です。40代では、体外受精をすぐに進められます。 しかし、高度生殖医療を受けてもだれでも妊娠が可能なわけではありません。これは、高度生殖医療が加齢による卵子の質の低下を補完する治療ではないためです。

また、高度生殖医療では卵巣刺激のために排卵誘発剤を使うことが一般的ですが、排卵誘発剤は受精を手助けする理想的な治療である反面、卵巣機能を著しく低下させてしまいます。つまり加齢によって卵巣機能が低下しているところに、ムチを打って強引に排卵を促すわけですから、卵巣に負担がかかり、その結果卵巣機能が低下して高度生殖医療そのものが治療できなくなってしまう場合もあります。最初の数回は採卵ができても、何度も繰り返すと卵巣機能が低下して、せっかく採卵しても空胞ばかり、といったことが起こります。
そのため、とくに35歳以上で高度生殖医療をおこなう場合には、卵巣機能を可能な限り維持できるよう補完的な治療は必要不可欠です。

さらに、20代の若年期不妊が増加していますが、性の乱れが及ぼす影響は深刻です。クラミジア、ヘルペスウイルス、淋菌などによる性感染症が若い女性の間で蔓延しています。クラミジア感染による卵管閉塞は、卵管形成手術をおこなっても予後が悪く、慢性炎症があると体外受精をおこなっても着床率が低くなるといわれています。

加齢だけでなく様々な複合的な要因が重なり合い、子宮内膜の状態や、卵巣年齢は実際の年齢とは必ずしもイコールではなく、個人差が非常に大きくなります。効果的に不妊治療を進めるためには、年齢だけでなく自分のカラダの状態を十分に理解した上で、自分に合った不妊治療の戦略を立てることが大切です。

老化卵子や子宮内膜の健全化を目的とした栄養療法や漢方治療が、高度生殖医の保管療法として注目されています。そして、ご自身の生活習慣を見直し体をしっかり作り直すことも大切ですね。

自由診療を核としたステップアップ治療

不妊治療するには、不妊の原因の一つである老化(質の低下)を少しでも緩やかにし、免疫力をアップさせて妊娠の成功率を上げるのがとっても大切です。
質の低下というと20代には関係ないように見えますが、加齢以外でも最近では若い世代でもストレスやホルモンバランスの乱れ、偏った食生活、不規則な生活などで卵子の質の低下が進んでいると言われています。
そんな卵子の質の低下と免疫力を取り戻すため、一般的に知られている治療方法のステップに、栄養療法や漢方薬での治療を取り入れ、体全体を整えてから又は、体を整えながら不妊治療を行うのをおすすめします。

年代別の原因不明不妊データ

原因改善・治療方法
20代不規則な生活食生活の乱れ喫煙飲酒過度のダイエット無理なダイエットや不規則な生活に走りがちな世代は、まず体に必要な栄養素をじゅうぶんにとって、体のなかの栄養バランスを整えることが大切。冷え性も妊娠の大敵です。
30代ストレス睡眠不足飲酒喫煙加齢妊娠力が急激に下がる30代は、仕事や家庭で多忙な年代でもあります。不規則な食習慣、寝不足やストレスなど、体調を崩す原因となる要素はできるだけさけたいところ。十分な栄養を補えないと、卵子の質の低下だけでなく、卵子の減りも早くなるそうです。妊娠力を低下させないために、常日頃から正しい食生活と積極的な栄養素の補給を積極的に行いましょう。
40代加齢ストレス飲酒喫煙肥満自然妊娠が難しくなる40代は、積極的に体質改善を行っていきましょう。適度な運動や栄養療法、漢方などを組み合わせて妊娠力アップを心がけましょう。

サプリで体を整える「栄養療法」と漢方薬で免疫力をアップする「漢方療法」

高度生殖医療ではカバーできない部分を治療できるのが、「栄養療法」や「漢方治療」です。
栄養療法とは、治療用のサプリメントを使って身体の機能をサポート、妊娠体質へと導く治療方法です。

血液検査で細胞レベルの栄養状態をチェックし、必要な栄養素を治療レベルで補うことで卵巣機能を改善することが目的です。
そして、漢方治療では、ゆるやかに効くため長期間飲む必要があり、不妊治療で使う薬と相性が合わないこともあるので、主治医に必ず相談しましょう。

不妊治療は年齢との戦い。年齢が上がるほど妊娠できる確率は下がってしまうので、赤ちゃんがほしい人は1日も早く妊活をスタートさせることです。まずは自分の年齢や体の状態をチェックして、医師や家族と相談しながら最適な治療方法を探しましょう。栄養療法や漢方療法を組み合わせて、妊娠しやすい体づくりをするのもおすすめです。