Q1. 排卵誘発はどのような方法がベスト?

Q.体外受精で注射による排卵誘発法を勧められています。私はもっとマイルドな方法から始めたいのですが…

「体外受精をスタートすることになったのですが、その際の排卵誘発の方法について悩んでいます。

主治医からは注射での排卵誘発法を勧められています。でも私は、注射は作用が強いような気がして少々不安です。

最初は薬によるマイルドな方法からスタートしたほうが良い気がするのですが、いかがなものでしょう?」

A.マイルド法(低刺激法)も選択肢のひとつですが、注射による排卵誘発法と比べると、妊娠効率は下がります。

卵巣機能が悪い場合は低刺激法か自然周期法しか選べない

排卵誘発法(卵巣刺激法)には、高刺激法、中刺激法、低刺激法、自然周期法という4つのタイプがあるのですが、卵巣機能が悪い人(卵巣が正常に働かなくなり、月経周期に乱れがあったり、無月経などが起こる卵巣機能低下症など)はマイルド法(低刺激法)もしくは自然周期法しか選べません。

マイルド法には「hMGクロミッド法」「フェマーラ-hMG法」などがあります。一日おきに注射は打ちますが、量が非常に少なく、卵巣刺激症候群(OHSS)になる可能性が非常に低いのが特徴です。

もっともマイルドな自然周期法の場合は、排卵誘発の注射は打たず、GnRHアゴニスト(卵巣を刺激するホルモンの分泌を下げて卵巣の働きを抑える薬)をトリガーとして用います。カラダへの負担は少ないですが採取できる卵子はひとつなので、妊娠の確立は低くなります。

質問者さんの卵巣機能が正常かどうかは不明ですが、担当医から排卵誘発の注射を勧められているということなので、マイルド法より妊娠の可能性が高い排卵誘発法を勧められているのかもしれません。

参照元:木場公園クリニック公式サイトコラム「体外受精のスケジュール|ひと目でわかる排卵誘発方法別の流れと期間」

https://kiba-park.jp/column/c20-0430/

低刺激法より多めにhMGを使用するフェマーラ-hMG法も

低刺激法のひとつとして紹介したフェマーラ-hMG法には、注射の量を増やす中刺激法という方法もあります。この方法は高刺激法と低刺激法の中間の排卵誘発法です。

ときどき連日注射を打つ必要があるため、薬剤の経済的負担が増えます。ただ採卵可能な卵子の数が3~7個と効率的であることから、この中刺激法を採用するクリニックも多くあります。

高刺激法は「ウルトラロング法」「ロング法」「アンタゴニスト法」などがありますが、連日の注射で身体的にも経済的にも負担が大きく、卵巣刺激症候群のリスクも高まります。

高刺激法を選択する場合は、担当医師にメリットだけでなくデメリットやリスクについてもしっかり確認するようにしてください。

なるべく多くの選択肢のなかから、個々の条件に合った方法を選ぶことが大事

体外受精のプランを立てる場合、いつからいつまで、どのタイミングでなにをするのか、全体像が見えるかたちで納得して進めることが重要です。

多くの卵子が採卵できるからという理由だけで排卵誘発法を選ぶのではなく、ご自身の卵巣機能がどのような状態なのか。経済的、身体的負担はどうなるのか。タイムリミットはいつなのか。治療を受けるクリニックが自宅近くにあるのか、遠いのか…などなど。

さまざまな要素を勘案したうえで、個々の条件に合わせて最良の方法を提案してくれるクリニックが理想です。