どうして妊娠ができないの?不妊の原因
目次
妊娠するために知っておきたい不妊の原因
最近の報告では3組に1組の夫婦が不妊に悩んでいるともいわれ、不妊はごく身近な問題になっています。子どもが欲しいのに、なかなか授からない。。。妊娠しない原因はどこにあるのでしょうか??まずは、妊娠のメカニズムからどんなトラブルが考えられるのか勉強していきましょう。
そもそも不妊とは?
通常、生殖機能に問題のないカップルが妊娠を希望する場合、3か月以内に50%、6か月以内に70%、1年以内に80%以上、2年でおよそ90%が妊娠します。
日本産婦人科医会では、正常の夫婦生活をもっているにもかかわらず2年以上妊娠しない状態を、「不妊症」と定義しています。
男女別不妊の原因
男女別の不妊の原因とは?
女性不妊の場合、検査で原因が明らかに分かる「(器質性)不妊」と、原因が分からない「機能性不妊」の2つに分けられます。
原因が明らかな女性不妊は、1)排卵に問題がある「排卵因子」、2)卵管に問題がある「卵管因子」、3)子宮に問題がある「子宮因子」、4)子宮頸管に問題がある「頸管因子」の主に4つに分けられます。
右のグラフの通り、もっとも多いのは原因不明(=機能性不妊)の不妊であり、次に卵管因子、排卵因子の順です。
その「機能性不妊」の大きな問題は、加齢による「卵子の質の低下」です。
そして男性不妊の原因は、1)造精機能障害、2)精路通過障害、3)性機能障害の3つに分けられます。
そのうち男性不妊の90%が精子をつくる働きに問題がある「造精機能障害」です。この造精機能障害の7割は原因不明で、男性不妊の場合も機能性不妊が多くを占めます。


不妊の原因、男性と女性の割合は?
不妊の原因は、女性だけの問題ではありません。
以前は不妊の原因はほぼ女性にあると考えられていましたが、最近では不妊の原因の半分は男性側にもあることが指摘されています。
世界保健機関(WHO)がまとめた調査では、女性のみに原因がある場合は41%、男性のみは24%、男女両方に原因がある場合も24%となり、不妊夫婦の半数近くは男性にも原因があることが分かります。

妊娠のメカニズム
妊娠のしくみを知ることが、不妊治療への第一歩です。
妊娠するためには、排卵→受精→分割→着床というステップの全てをクリアすることが条件です。そのステップのどこでつまづき、何が原因となっているのかを知ることが大切です。まずは、女性と男性の体の仕組みを簡単に理解していきましょう。

排卵
女性の体にはたくさんの卵子があり、ふだんは卵巣の中で卵胞という殻のようなものに包まれて眠っています。そのうちの約20個の卵子が月に一度、女性ホルモンの働きによって成長し、いちばん成熟した1つの卵子が卵胞から飛び出してきます。
卵管に移動
飛び出した卵子は卵管の先にある卵管采にキャッチされ、卵管に吸い上げられて子宮へと向かっていきます。射精セックスで射精される精子の数はおよそ1~5億個と言われます。精子は膣から子宮に入り、卵管を通って卵管膨大部と呼ばれるところまで進みますが、ここまでたどりつけるのは強い生命力を持ったわずかな精子のみです。
受精
卵管膨大部まで進んだ卵子は、たくさんの精子が卵子と受精しようとチャレンジします。そのうちひとつの精子が卵子に入りこんで、受精となります。
着床
受精した卵子(受精卵)は細胞分裂をくり返しながら、卵管を通って数日後に子宮まで進みます。このとき子宮内膜はふかふかのベッドのように厚くなっていて、受精卵を受け入れる準備をしています。受精卵は子宮内膜の中にもぐりこみ着床が完了すると、妊娠が成立します。
このように妊娠に至るまでには排卵→射精→受精→分割→着床といくつものプロセスがあり、1つでも欠けると妊娠できないことが分かります。不妊治療では、このプロセスのどこにトラブルがおきているのかを見つけ出し、その原因に対して治療を行うことになります